これまでの記事ではサラリーマンが副業で収入を得るようになったら、すぐにプライベートカンパニーを設立しようと述べてきた。
そのような話をしていると「すぐにって言うけど、実際に副業でどれくらいの金額が稼げるようになったら会社設立を検討すればいいのかや?」と言う質問をいただくことがある。
その質問については明確な答えが存在する。
今回は、サラリーマンが副業でいくら稼ぐようになったら会社設立するべきなのかということについて書いてみたい。
1.会社設立のタイミングで考えるべき2つの視点
ネット上に限らず巷に溢れる様々な情報を見ても、会社設立のタイミングの問題を取り上げた記事は結構見受けられる。
それらの記事の多くは、結構な割合で税制面の優遇に関する記事が多い。
しかし、我々のような副業サラリーマンが、会社設立のタイミングを考える上ではそれ以外にも重要なポイントがある。
それは本業の会社にバレない問題である。
この一般的に議論される税制面の問題と、我々副業サラリーマンにとっては死活問題の本業の会社にバレない問題。
この2つの観点は重要視するべきポイントが違うため、それぞれの視点で会社設立のタイミングを考えると、状況は結構変わってくるのが実情だ。
ただ、私個人の見解でいえば税制面の優遇と言う点は、ひとまず副業サラリーマンのプライベートカンパニーの設立の段階では考えなくても良い問題とだと思っている。
なぜなら、それら税制面のメリットに関する情報の観点が独立起業した個人事業主をターゲットとした内容となっている場合が多く、我々のような副業サラリーマンを想定した情報ではないからだ。
我々のようなサラリーマンがプライベートカンパニーを作る一番の理由は、何よりも会社にバレないように副業で収入を得る方法としてプライベートカンパニーを使った所得分散を行うことにある。
税金関連の問題は、何よりも会社にバレずに副業をして、収入が軌道に乗ってから考えればいい問題である。
では、その副業規定(会社にバレない)の観点から、会社設立のタイミングを考えたらどうだろうか。
その意味で言えば、我々が会社設立をするに当たっての所得の目安はズバリ20万円である。
それはなぜか。その理由は、確定申告の問題が出てきてしまうからである。
以前の記事 サラリーマンの副業、確定申告をしないと受ける3つのペナルティ。でも述べたが、通常、サラリーマンなどの給与所得者は自分で確定申告を行う必要はない。
それは本業で勤めている会社が年末に行う「年末調整」によって、1年分の税金の精算をあなたに変わってやってもらえるからだ。
ただし、以下のような条件を満たす人は、サラリーマンであっても確定申告をする必要がある。
- 1年間の給与所得が2,000万円を超過した人
- 勤務先からの給与所得以外に、給与所得・退職所得以外の所得を20万円超得た人
- 副業で20万円超の所得を得た人
- 源泉徴収義務者以外から収入を得た人
我々が副業で収入を得ると言うことは、上記のうち副業で20万円超えの所得を得た人に該当することになるわけだ。
所得税法上、副業での所得が20万円を超えた時点で確定申告が義務化される。(それまでは基本的に任意申告である。)
そして確定申告をすると言うことは、あなたの本業と副業を合わせた総収入に住民税が掛かることになり、結果あなたの本業の会社に筒抜けになってしまうと言うことだ。
その結果、副業をしていることが会社にバレてしまうのである。詳細は、別記事 サラリーマンの副業が会社にバレる4つの理由。 を参照してほしい。
それを防ぐためには、副業の所得が20万円を超えた段階で法人を設立して、会社に利益を流してあなたの収入から隔離する必要がある。
そのために我々はプライベートカンパニーを作るのだ。
2.所得が20万円を超えると言うのはどういうこと?
ちなみに「20万円なんてすぐに稼げちゃうじゃん、そしたらいきなり会社設立しなきゃいけないの?」と勘違いする人が結構いたりする。
ただ繰り返しになるが、あくまで20万円と言うのは収入ではなく所得である。
所得とは、つまり「年間の総収入金額-年間の必要経費の額」のことだ。
だから厳密にいえば、仮に副業での売上が50万円であっても、売上から経費を差し引いた所得が20万円以下なら所得税の確定申告は必要ない。
過去記事 サラリーマンが副業をすると掛かってくる税金について知ろう。 で収入と所得の違いについて記載しているのでもう一度熟読してほしい。
例えば私が推奨しているインターネットビジネス物販事業でいえば、売上から仕入価格を引いて、その他諸経費を差し引いて残った利益が所得だ。
ここで言うその他諸経費とは、配送料や梱包資材代など収入を得るために必要となる費用のことであり、実際は様々な費用を経費として計上することで差し引くことができる。
どのような費用が経費として差し引けるかは申告方法の違いによって変わってくるので別記事 サラリーマンが副業するなら白色申告と青色申告の違いは知っておこう。 を参照してほしい。
我々が本腰を入れて副業を開始したら、すぐに所得も20万円は超えてしまう。その点も踏まえれば、副業が軌道に乗った段階で会社設立は並行して行ってしまった方が良いだろう。
そして、設立前に発生した収入と経費の計算は白色申告をうまく活用することで脱税にならないように対応を行うのがベストである。
3.税金面でのメリットを享受できるのは?
以上のように、我々副業サラリーマンにとって第一目的である「会社にバレない仕組みづくり」としての会社設立のメリットを享受した後に考えるべきは、税金面での優遇と言うメリットである。
ちなみに会社設立における税制面のメリットが享受できるようになるのが、所得が800万円を超えたあたりからとなる。
その頃になると税金が、法人税≦所得税 となってくるからだ。
日本では累進課税と言う制度を導入しているため、一般個人にかかってくる所得税はその人間の収入額に合わせて7段階の課税率が適用される。
対して法人税は、資本金と年間利益の金額によって3つの税率が決まっているのだが、それが上記800万円を超えたあたりから法人税率の方が所得税に比べて税率が低くなるのである。(平成30年度時点)
さらに今後は、国の方針によって法人税率はさらに下がってくる可能性が高く、逆に所得税率は上昇していくことが予想されている。
そうなれば、この800万円と言う金額はさらに700万、600万と分岐点が下がってくることだろう。
それに加えて会社を設立して法人として事業を行えるようになれば、個人で行っている事業よりもはるかに多くの費用を経費として計上できるようになる。
結果として税金面でのメリットはますます増えていくに違いない。
ちなみに私の経験から言っても、車両費や燃料費、その他の交通費のほか、家賃やレジャーにかかる費用、図書費や飲食費など、様々な部分で会社の経費として計上できるものがある。
もちろん脱税などせず、正真正銘、まっとうな方法でだ。
とにかく税制面でのメリットは計り知れないほどの旨味があることは述べておこう。
上の通り現時点では800万円程度の所得が分岐的となっている。
「副業で800万円なんて本当に稼げるの?」と思うかもしれないが、実は案外いけちゃう金額である。
しっかりとしたノウハウを元にネットビジネスによる物販などを積み上げていけば、年間で800万円程度の副収入を得ることは現実的な数字だ。
だから、そう時間もかからずに税制面での利益も享受できるようになるだろう。
4.さいごに
会社設立のタイミングについては、それぞれの置かれた状況によって起点となるべき考え方の違いは存在する。
ただ我々のような副業サラリーマンがプライベートカンパニーを設立する第一の理由は、本業の会社にバレずに副業で収入を得ることだ。
そういった意味では、法律的な問題から言っても副業で所得が20万円を超える段階で会社を設立し、利益を会社にシフトしておくことが必要だ。
そして今後、あなたが地道に副業を続けていけば、収入は飛躍的に増加していくので、その段階になったら税制面の優遇も含めた視野でプライベートカンパニーを活用していけば良いだろう。
それはさして遠くない未来である。
さて次は実際に会社設立をするに当たって必要な準備「会社を設立のために準備するものって何。」について書いてみよう。