プライベートカンパニーを作ることで得られる恩恵は多岐にわたるが、その一つがこれまで述べてきたような支出を経費化出来るということである。

そして、その効果は高額な出費を行った際に遺憾なく発揮される。

 

それというのも、一般個人と会社法人との間には大きな税制の壁が存在するからである。

出費をする際に、一般個人はAfter Tax(課税後)の現金で行うのに対して、法人はBefore Tax(課税前)のお金を使うことができるからである。

 

これはとてつもなく大きな違いだ。

そして、さらに法人の世界には、一般個人の世界にはない「減価償却」という概念存在する。

 

今回は、その「減価償却」を活用したメリットを最大限に生かす方法の一つ「自家用車を経費にする方法」について説明しよう。

 

1.まずはBeforeTax(課税前)とAfterTax(課税後)の支出の違いを知る

あなたも額面収入と手取り収入という言葉を聞いたことがあるだろう。

これは簡単にいうと、額面収入は会社からあなたに対して支払われる給料やボーナスの全額収入。

そして手取り収入とは、その全額収入から所得税や社会保険料などの税金が差し引かれたもの、つまりあなたの銀行口座に実際に振り込まれる金額のことだ。

 

毎月会社から渡される給料明細を眺めたときに、そのあまりの税金や保険料の高さに愕然としたことがあるのではないだろうか。

実際に、どれほどの税金や社会保険料が国に搾取されているのだろうか。

 

仮にわかりやすくあなたの月収が100万円だとしよう。

すると年収で1200万円となる。

 

これを手取りで月額いくらもらえるのかを計算したとすれば

1200万円(額面金額)− (社会保険料 172万円 + 所得税・住民税 189万6000円) ÷ 12ヶ月 ≒ 70万円

となる。

 

もちろん家族構成などで受けられる控除が増えたり減ったりもするが、ざっくり手取りだと年収で830万円ほど、月額70万円ほどになってしまうのだ。

 

そして、あなたが何か物を買ったり支払いをするときには、すでに国から税金が引かれているお金(手取り金額)から支払うことになる。

 

370万円もの金額を、なんの断りもなく国はあなたから搾取しているのである。つまり4ヶ月弱の期間、あなたは国のために無報酬で働いているようなものなのだ。

これは本当に恐ろしいことである。

 

「ジョーダンじゃない、なんで俺は国のためにこれだけのお金と時間を国に搾取されなきゃいけなんだ。」とあなたが思ったとしよう。

そして思い立って様々な控除や特典を駆使したとしても、サラリーマンが出来ることなんてタカが知れている。

 

あなたがサラリーマンと言うAfterTaxの世界にいる限り、この事実から逃れることはできないのである。

 

しかしだ。

 

これがプライベートカンパニーを持って法人を設立すると状況は変わってくる。

その答えが、BeforeTaxとAfterTaxの違いなのだ。

 

法人がお金を支出する際、もしその支出を経費として計上できたとしよう。

すると、その経費は収入額から差し引かれて、あなたの収入額が減ることになる。

 

つまり100万円の収入があったとして、経費で10万円が認められたとするとあなたの収入は

100万円(実際の収入)ー10万円(経費)=90万円(あなたの収入額)

となる。

 

そして「あなたの収入額」のことを「課税所得」と呼び、その課税所得に対して税金と社会保険料が計算されることになるのだ。

つまり、あなたは税金を引かれる前の収入( beforeTax)の中から、あなたの欲しいものや払うべきものに対して支出をすることが出来るということである。

 

そして究極をいえば、経費が収入と同額であれば課税所得は0円ということになり、所得税を支払う必要がなくなるのである。

100万円(収入)ー100万円(経費)=0円(あなたの収入額=課税所得)

 

結果、あなたは国から1円足りとも税金として持って行かれることなく(均等割を除く)、自由にお金を使えることになるのである。

法人てなんて素晴らしいのだろう。

 

2.自家用車はこうして経費にしよう。

今、あなたが乗っている自家用車。これをプライベートカンパニーの名義で買ったとしよう。

すると、購入時の諸経費、ガソリン代、保険料と言った維持費も全てプライベートカンパニーの経費となる。

 

個人事業主と違い、会社利用と個人利用の按分計算の必要もなく、かかった費用は全て経費だ。

そして、自家用車の購入代金自体も経費として計上することが可能だ。

 

そこで登場してくるのが、上に書いた「減価償却」という概念。

本来、一括で必要経費として処理できるのは10万円未満までと決まっている。

 

その金額を超える高額の買い物をした際には、まず全て貸借対照表上の資産として計上しなければならない。

当然、自家用車というのは10万円未満で買うことができないので、購入時に一括経費として計上することはできず、一度資産として計上される。

 

その後、減価償却という方法を用いて、自家用車の購入代金を数年に渡って経費として計上することが出来るのだ。

資産にはそれぞれ耐用年数というものが税法で定められており、車両というのは耐用年数6年で計算する。

 

例えば、車両価格が300万円だった場合、これを6年の耐用年数で計算すると

1年で50万円(300万円÷6年=50万円)となる。

そして、この50万円というのが一年間で経費として計上できる金額ということになる。

 

つまり税金がかかる所得を50万円分経費として控除できるということだ。

仮に、4年落ちの車を中古車で買った場合は、耐用年数は新車購入時として計算されるので、

6年ー4年=2年の耐用年数として計算することになる。

300万円の中古車を2年で減価償却するので1年=150万円を経費として計上することが出来るのでさらにお得だ。

 

もちろん、プライベートカンパニーの車として購入する以上、業務用の車として使うことが前提となるが、仕事をするついでに買い物をする程度の利用であれば咎められることもない。

福利厚生の一環として、ドライブや旅行に使ったとしても問題はないだろう。

 

3.さいごに

プライベートカンパニーを使えば、自家用車という非常に大きな買い物も経費として計上することができて、しっかりと節税効果を享受することが出来る。

これをうまく使えば、税金として取られるはずだったお金で、あなたの好きなものを購入することができてしまうのである。

こんな美味しい思いも出来てしまうプライベートカンパニーの魅力をぜひあなたも活用して欲しい。

 

さて次は「会社のお金を自分の利益に変える方法、妻や家族に給与を支払おう。」について書いてみよう。