サラリーマンが会社にバレないように副業をするための最強の武器「プライベートカンパニー」。
副業でもしっかりお金を稼ぎ、それを税金や保険料、その他あなたのお金を狙う多くの敵から守るためには必須のアイテムだ。
ただ、世の中には法人設立の他にも自分で事業を起こしてお金を稼ぐための仕組みが存在する。
それが個人事業主だ。
そして個人事業主の中にも大きく分けて2つの方法がある。今回は、サラリーマンが副業するなら白色申告と青色申告の違いは知っておこうというテーマで書いてみたい。
1.白色申告と青色申告の違い
1−1.サラリーマンも知るべき白色申告と青色申告の概要
個人事業主には、白色申告と青色申告という選択がある。
青色申告を選択する場合は、青色申告承認申請書を一定期間内に納税地の所轄税務所に届け出る必要がある。
その手続きをせず、税務署から承認を受けていない申告は、全て白色申告だ。
まずメリットとしては青色申告の方が多い。
事業所得の青色申告は帳簿のつけ方によって、青色申告特別控除として10万円控除から65万円控除のどちらかが適用されるが、白色申告の控除額はゼロだ。
白色申告の事業所得の求め方は、年間の売り上げから必要経費を差し引くだけ。シンプルそのものである。
生計を共にしている妻など配偶者や家族への給与を払うこともできる。
青色申告の場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出して、その記載金額が相当であると認められて、その金額の範囲内で支払いをするが、白色申告では専従者への給与は経費にできない。
確定申告の時に「事業専従者控除」として控除することはできるが、控除額には上限があり、専業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円と決まっている。
メリットが多い分、青色申告は面倒な手間がある。青色申告特別控除額が10万円でよければ、単式簿記による記帳でもオッケーだが、65万円の控除が受けたいのなら、複式簿記で記帳しなければならない。
対して白色申告であれば、単式簿記による記帳でオッケーだ。以前は事業所得が300万円以下であれば、申告者には帳簿の記帳義務はなかったが、2014年から白色申告にも記帳と帳簿保存(期間は5−7年)が義務化された。
そういった点では少し面倒になったわけである。
1−2.白色申告のメリットとデメリット
さて、青色申告と白色申告の違いを知ると、最低でも10万円の控除が受けられる青色申告を選ぶ方が当然のように思えなくもない。
だが白色申告にも多くのメリットがある。それは何と言っても立ち上げの気軽さである。申請の手続きなどが一切不要で、自分が事業を始めればそれだけで個人事業主になれる。
誰の許可も必要ない。青色申告には所定の手続きが必要なことを考えれば楽なものだ。
それに記帳が必須になったとはいえ、必要なのは収入金額や必要経費をきちんと記帳するだけの単式簿記である。決算書も、収支の内訳が分かる収支内訳書だけでいい。要は使い方である。
最終的には、プライベートカンパニーの立ち上げは必ず法人化するべきだと思うが、事業を開始して軌道に乗るまでのわずかな期間は、白色申告を利用するのもありだ。
わざわざ青色申告の手間を考えるのであれが、白色申告ができる準備を踏んで、法人化に備えれば良い。(もちろん、決算の手配などは、その際も妻か家族の名義で行うことを忘れずに。)
1−3.青色申告のメリットとデメリット
次に青色申告について。事業所得の場合の青色申告は帳簿のつけ方によって10万円から65万円の控除が受けられるのは先に述べた通りだ。
個人事業主の中で、節税効果が高いのはどちらかといえば、白色ではなく青色申告である。巷では白色申告で事業規模が大きくなってきたら青色にシフトするのが良いというものがある。
だが我々副業サラリーマンにとっては、青色申告にするタイミングならもう一気に法人化してしまった方がメリットは大きい。
そのため基本的に我々が青色申告を選ぶタイミングは見出しにくいのだが、一応青色申告のメリットも記載しておこう。
白色に比べて青色申告の最大のメリットは経費計上できる案件が増えることと、「損失申告」である。
損失申告とは、損失が発生した場合(赤字になった場合)、確定申告を行えば、翌年以降から最長3年間に渡ってその損失額を繰り越すことができるのだ。
例えば、ある年に500万円の赤字をだし、翌年には400万円の黒字、その次の年は500万円の黒字だったとしよう。すると所得税は以下のようになる。
1年目 500万円の赤字 所得税 0円
2年目 400万円の黒字 所得税 0円(通算してまだ100万円の赤字のため。)
3年目 500万円の黒字 所得税は500万円(黒字)ー100万円(赤字)=400万円の黒字分の所得税 37万円2500円となる。
このように1年目は赤字のため所得税はかからない。2年目は黒字だが、1年目の赤字額と相殺して、やはり所得税はゼロになる。
3年目は、2年目に相殺しきれなかった金額(100万円分)を繰り越して相殺して、課税所得は400万円分からとなる。
赤字の繰り越しは3年目まで可能となるのだ。(この控除を利用するには、損失(赤字)が発生した年度において、期限内に青色申告して、かつ損失が発生した年度の翌年以降、連続して申告していることが条件。)
それから税制面(控除枠の拡大)もメリットだ。白色申告は控除が0円であるのに対して。青色申告は記帳の方法によって10万円から65万円の控除を得ることができる。
また配偶者や親族などを青色事業専従者とすれば給与も支払うことができて、それも経費にできる。
仮に事業収入が600万円で経費が250万円程度のビジネスを想定すれば、白色申告では所得税額が27万2500円、青色申告の65万円控除であれば、18万7500円と8万5000円もの違いが出る。
さらに青色事業専従者の給与も加味すれば、この所得税額の開きはさらに広がることになるだろう。この差を見て記帳などにかかる手間と天秤をかけて白色と青色のメリットを見極めるのが良いだろう。
2.それでも法人化を進める理由
ここまで個人事業主としての白色申告と青色申告について説明してきた。確かに白色は始めるのが簡単だし、青色はそれなりに税制優遇も高い。それぞれにメリットはあるのは確かだ。
だが、やはり我々副業サラリーマンにとっては、最終的には法人化を進めたい。理由はこんなことである。
対外信用力が増すこと、経費として認められるものが個人事業主とは比較にならないほど増える、節税効果が増す、事業承継ができる。そして何よりも本業の会社にバレないようにのびのびと副業に取り組めるということだ。
今後ビジネスが軌道に乗ってくれば、取引をする相手も増える。仕入先や販売先だけでなく、銀行やクレジット会社、その他あなたの資産を効果的に形成していく専門家たちとの関係など様々な分野に波及していくだろう。
また経費として認められるものが増えると、あなたや家族の人生を豊かにしてくれるアクティビティや福利厚生なども会社の経費として計上することもできる。
結果、節税効果が増すのは上述した通りである。
そして法人化の一番のメリットは将来的に家族や子供に自分の資産を継承していけるということだ。ここが個人事業主と法人設立のもっとも大きな違いだろう。
個人事業主は、その活動の全てが一個人に帰属している。そのため、もしその人の身に何かあったら、その場で事業は終わる。
生きている間に、どれほど仕入先や得意先を開拓して営業基盤を確立したとしても事業主の死亡とともに事業はジ・エンド。残された事業を配偶者や子供が引き継ぐことは基本的にできない。
しかし法人化しておけば、その事業承継が可能になる。法人の所有者である株主が亡くなったとしても、相続に当たっては法人の方が有利だ。
例えば個人事業主が事業で使っていたものは全て同人が亡くなった段階で、相続税の課税対象になる。
一定以上の相続財産については、相続人(配偶者や子供)が決められた相続税率にしたがって相続税を支払わなければならない。
それが法人になると状況が一変する。
法人の場合、法人が所有する資産には相続税が一切かからない。例えば、家や車などの資産を法人名義にしておけば、法人には相続税は発生しない。
資産家が不動産や財産の管理会社を設立しているのは、このようなメリットがあるからなのだ。
もちろん、我々のような普通のサラリーマンであって、この恩恵は十分に活用することができるのである。
3.さいごに
個人事業主という選択肢の中にも、白色申告と青色申告という2つの方法がある。それぞれにメリットどデメリットがあるが、使い方によっては優れた武器にもなりうる。
だが、やはりサラリーマンが副業で収入を得るための武器とするなら、法人化をしてプライベートカンパニーを立ち上げるべきだ。
自分だけでなく、配偶者や子供、家族みんなが幸せになるために一番優れた仕組みであり、あなたの人生を豊かにする素晴らしいパートナーになってくれるだろう。
さて次は「副業サラリーマン必読!まずは『会社』とは何かを理解しよう。」について書いてみよう。