あなたのプライベートカンパニーで社長の役員報酬はいくらにするのがお得かが知りたい方へ。

「現在、プライベートカンパニーを運営している、もしくは設立したいと考えているけど、社長の役員報酬をいくらにしようか考えている。いくらくらいに設定すれば良いんだろう。」と考えていませんか?

 

本記事では、下記の内容を解説します。

 

✅ 本記事のテーマ

1.社長の役員報酬【年収と課税所得の違いについて】

2.社長の役員報酬にかかる問題【社会保険料の問題】

3.社長1人しかいない場合であっても法人であれば、社会保険は強制加入?!

4.サラリーマンの妻であるアドバンテージは最大に活用すべし

 

✅ 記事の信頼性

この記事を書いている私は、妻を社長にしたプライベートカンパニーを設立、数年の期間運営しています。

役員報酬の設定も、専門家と相談しつつ色々と試してきましたので、記事の信頼性確保につながると思います。

 

 

◾️はじめに

プライベートカンパニーを設立して事業が軌道に乗ってくると、会社の収入はうなぎのぼりに伸びてくる。

しかし、悲しいことだが「会社の収入=あなたの収入』ではない。

それはあくまでも会社のお金だと、前回の記事でも述べた。

 

会社のお金を大手を振って自由に使えるようにしたい。そのためには合法的にあなたのお金としてシフトする必要がある。

その一番簡単な方法が「役員報酬」として社長に給料を支払うと言うものだ。

これで正真正銘、会社の利益をあなたの家族のお金として自由に使うことができるようになる。

 

しかし、ここで重要なポイントがある。

それは、役員報酬の金額はいくらにすれば良いかという問題。

「そんなの、出せるだけ出せばいいじゃん。」と思うかもしれないが、残念ながらそれほど単純な話でもない。

 

それは社長をあなたの妻にしていることが関係している。

現在、あなたの奥さんが専業主婦なら、おそらくあなたの扶養家族になっているのでは無いだろうか。

もしそうなら、このステータスはできるだけ維持した方が良い

 

何を隠そう、この「扶養家族であると言うステータス」は、税制的にも実はかなり美味しいものなのだ。

そして、その旨味をしっかり維持し続けるためには、役員報酬の金額設定もかなりシビアに行う必要がある。

今回は、妻を社長にしているプライベートカンパニーにおいて、税金や社会保険料などを考慮して決める最適な役員報酬額について考えてみよう。

 

1.社長の役員報酬【年収と課税所得の違いについて】

あなたも収入と所得と言う言葉は聞いたことがあるだろう。

だが、この二つの違いを明確に理解している人は案外少ない。

 

一般的に、我々が「年収はいくらですか?」と言う質問に対する答えば、いわゆる額面収入のことである。

それに対して「所得」とは収入から諸経費を引いたもの。

そして税金はこの所得の金額にかかってくる。所得の金額に税率をかけたものが所得税の金額である。

 

課税所得とは、収入から各種控除などを引いたあとの実際に課税するための所得のことをいうのだ。

ちなみに、税法では所得税を計算する時に、その収入がどのように発生したかによって、所得を10種類(利子所得,配当所得,事業所得,給与所得,不動産所得,退職所得,山林所得,譲渡所得、一時所得並びに雑所得)に分類している。

そして、それぞれの収入に対して、諸経費とできる計上できる勘定も異なってくる。

 

あなたの所得の仕方によって、金額の計算方法がことなるのだ。そのため、所得税を計算する上では以下のようなステップが必要になってくる。

  1. それぞれの所得ごとに所得金額を計算する
  2. 所得ごとに求めた所得金額を合算する

 

この辺りは、別記事 サラリーマンが副業をすると掛かってくる税金について知ろう に書いているので参照してほしい。

サラリーマンが副業をすると掛かってくる税金について知ろう。

 

妻を社長にするに当たっては、この収入と所得の両面から考えた適正金額を設定する必要がある。

 

2.社長の役員報酬にかかる問題【社会保険料】

次に考えないといけないのが、社会保険料の問題

社会保険料の基本的用途は、各種年金と健康保険だ。

サラリーマンの妻であれば、扶養家族となっている場合、妻や子供のための保険料は免除されているはずである。

 

妻がパートに出るようになると、社会保険への加入義務の問題が浮上することがある。

サラリーマンの妻で夫の社会保険上の扶養に入っている場合でも「年間の収入が130万円を超える場合」や「勤務先の社会保険加入の条件を満たした場合」には夫の社会保険上の扶養から外れることになると言うやつだ。

社会保険加入すると手取り額が減ってしまうので、結構シビアな問題だ。

 

一般的に話題となるのは、妻がどこぞの会社にパートとして務めた場合の話。

だが、プライベートカンパニーの社長として収入を得る場合でも、これは基本的に全く同じだ。

どのような方法にせよ収入を得ている以上は、この社会保険加入問題はしっかりと考えなければならない。

 

ただ、パートさんの立場で加入する場合と、会社の社長として加入する場合とでは、少し意味合いが異なってくる。

私個人の印象としては、社長である妻が社会保険に加入しても、通常パート勤めの場合に得られるメリットを享受するのは難しいというのが結論だ。

それは以下の理由である。

 

社会保険に加入するメリットは一般的に以下のようなものである。

  • 病気や怪我で仕事ができないとき傷病手当金がもらえるようになる。
  • 厚生年金加入により、将来の受け取り年金額がアップ。
  • 産休・育児休暇等の際に収入が保証される。

 

まず、最初の傷病手当金だが、4日以上仕事を病気やケガで休むときにお給料の一部(2/3)を健康保険が払ってくれる手当金制度。

長期入院などして働けないときも収入が確保できると言うセイフティネットだ。

確かにパートとして仕事をしているなら、病気などで仕事を休めばお金はもらえない。

だから仕事に出れなくてもお給料がもらえる手当制度はとてもありがたい。

 

しかし社長の場合は貰っているのは給料ではなく役員報酬。

役員報酬は給料と違う

ぶっちゃけ仕事をしなくても、年間で決まった額の報酬を得られるものなので病欠云々は関係がない。

それにあなたと奥さん二人で自宅で簡単に行えるプライベートビジネスの場合、怪我しようが入院しようが特段事業に影響はでない。

 

これは産休、育児休についても同じだ。

さらに、この程度の収入は民間保険などを活用すればもっと安価で利益を享受することもできる

コストパフォーマンスで見てもあまり魅力は感じない。

 

唯一検討の余地があるとすれば、厚生年金加入により、将来の受け取り年金額がアップと言うものだ。

ただ、これも小規模企業共済などの制度を活用した方が、よっぽど有利な条件で年金を得ることができる。

そのような意味でも、社会保険加入のメリットはない。

 

つまり、社長の妻が夫の扶養を外れてまで社会保険に加入することには全くメリットがないと言うのが私の結論である。

 

3.社長1人しかいない場合であっても法人であれば、社会保険は強制加入?!

上に述べたように、社長の妻を社会保険に加入させるメリットは当面は無いと考えて良い。

ただ1点問題がある。

それはこちらの意思に関係なく、あなたのプライベートカンパニーが一定の事由を満たせば強制適用事業所と認定されて社会保険に加入しなければならないということだ。

その一定の自由というのは以下の通りだ。

 

強制適用事業所は、次の(1)か(2)に該当する事業所(事務所を含む、以下同じ)で、法律により、事業主や従業員の意思に関係なく、健康保険・厚生年金保険への加入が定められています。

(1)次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所
 a製造業b土木建築業c鉱業d電気ガス事業e運送業f清掃業g物品販売業h金融保険業i保管賃貸業j媒介周旋業k集金案内広告業l教育研究調査業m医療保健業n通信報道業など

(2)国又は法人の事業所
常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所

全国健康保険協会HPより抜粋

 

日本年金機構の資料によると「社長一人しかいない場合であっても法人であれば強制加入となります」と記載されている。

一方で、厚生年金保険法では常時従業員を使用する場合に社会保険の適用事業所とする旨を定めている。

 

例えば株式会社では、社長と会社は委任契約の関係にある。委任とは他人(会社)のために労務やサービスを提供する契約で、雇用のような従属的関係が認められない契約である。

つまり、社長は雇用契約を結んだ従業員(使用人)には当たらない。また、合同会社の社長は社長自身が業務執行者なので、雇用関係にある従業員では無いのである。

要するに、社長一人だけなら常時従業員を使用していないので、社会保険料の適用事業所にならないはずである。

 

それにもかかわらず、日本年金機構は「社長は従業員」と解釈して、通達でその旨の指示をしてくることがある。

全くお役人というのは意味不明な生き物だ。

旧社会保険庁の頃から、彼らは赤字垂れ流しの保養施設を作って年金資産を浪費したり、運用で失敗して損失を膨らめせたりなど、ずさんな管理で年金不払いを続けてきたが、法律の解釈や運用についてもずさんこの上無いのである。

 

今後、日本年金機構は加入逃れが疑われる全事業所に文書や電話で厚生年金をの加入を求めていく方針だそうだ。

確かに従業員がいるにもかかわらず加入逃れをしている事業所の件数は膨大なので、それ自体は正しい対応だと思う。

しかし、社長一人の事業所に対してまで、全く同じスタンスで挑むなら、それこそ法令違反(厚生年金保険法)なのだから、おそらく強制手段は取れないと私は思うし、そのような意見が多い。

 

以前、私のプライベートカンパニーにも年金事務所から、厚生年金に加入しない旨の理由を問う書状が届いたことがあるが、上記正論で返答したところ、それ以来連絡は一切ない。

 

それでも、今後も同じ状況が続くとは限らない。

何しろお役人のやることは支離滅裂、一切根拠の無いことでも平然と推し進めてくる可能性も否定できないからだ。

そこで社会保険料の強制適用事務所と認定された場合に備えて、社長が被保険者にならないようにしておく対策を講じておく必要がある。

 

4.サラリーマンの妻であるアドバンテージは最大に活用すべし

それでは社会保険料の強制適用事務所と認定された場合に備えて、社長が被保険者にならないようにしておく対策とはどのようなものか。

少なくとも、給料をもらっていなければ、被保険者とはならない。そして給料をもらっているか否かは、所得税が源泉徴収されているか否かで判断される。

給料が100万円以下であれば、所得税も住民税もかからないので源泉徴収もされない

 

だから、妻社長への年間報酬額を100万円以下に抑えておけば良いのである。

 

さらに万全を期すのならば、月額3万円以下にしておく。

そうすれば逆に社会保険庁から社会保険加入を向こうから渋らせることができる可能性が高い。

 

その代わりプライベートカンパニーにはお金が貯まるので、別記事の会社経費を活用した支出を駆使すれば、あなたの家族は100万円以上の収入をもらっているのと同じことだ。

 

プライベートカンパニーを使って、いろいろな支出を経費にしよう。

 

そして結果的に、妻本人が社会保険料を支払わなくても、あなたの扶養家族として引き続き国民年金は支給されることになる。

サラリーマンの配偶者は年収が130万円未満であれば国民年金の第3号被保険者に当たるので、年金掛け金の支払いが免除される。

 

せっかくの特典なのだから、それを放棄する必要は無い。

サラリーマンの妻を社長することのメリットを最大限に活用してほしい。

ちなみに、将来的には2人揃ってプライベートカンパニーの厚生年金に加入することでメリットが出てくる場合も出てくるので、その際はしっかり金額の試算などもしながら、もっとも有利な方法を活用してほしい。

 

5.さいごに

副業サラリーマンの妻が社長になることで得られるメリットは、普通の会社の社長とは大きく異なる。

社長と正規社員、パートのいいとこ取りが出来てしまうのが、プライベートカンパニーを立ち上げて妻を社長にすることで得られる大きな特典である。

役員報酬をうまく調整することで、そんな美味しいメリットをぜひ享受してほしい。

 

さて次は「副業の前にまずやろうぜ、世界一ノーリスク、ハイリターンな資産形成術とは。」について書いてみよう。