これまで述べてきたように、合同会社の設立手続きはとても簡単だ。だが、それでも設立に当たってはいくつか気をつけておく必要がある事項がある。

それは資本金と事業目的についてだ。

この2つは継続的にプライベートカンパニーを運営していくにあたって、会社設立時点でしっかり考えておかなければいけないポイントがある。

 

今回は、この2つの事項についてもう少し詳細に説明してみよう。

 

1.資本金の注意事項

1つ目の資本金の注意事項は、その金額についてだ。

基本的に我々のプライベートカンパニーで準備する資本金は300万円未満でいい。なぜかというと、資本金1000万円以下にした方が、税金が圧倒的に有利だからだ。

そもそも1000万円も資本金の準備ができる人はそういないだろう。(会社設立時の私には絶対無理だった。。。)

 

さらに言うと、資本金300万円以上も多すぎる。

なぜなら、資本金300万円以上の企業は商工会への加入と法定台帳の提出を義務付けられており、年会費も発生してしまうからだ。(地域によって資本金額の基準は異なる)

各地の商工会は地元零細企業向けのセミナーや相談会などを逐一開催している。そんなイベントに参加することで事業家の知人ができるなどメリットも無いことは無い。

 

だが相対的に考えても我々が行うプライベートカンパニーのビジネスには費用対効果が薄いことが多いので、私個人としてはどうでも良いと思っている。

だから、資本金は300万円未満で十分である。

ただし少な過ぎるのも考えものだ。それは対外信用の面で問題が起きる可能性もあるからだ。

 

例えば、銀行から融資を得る際や会社のクレジットカードを作成する場合などに一応の資本金額が無いと、本当に事業をしている会社なのかと疑われて、審査が通らない可能性もある。

本来、ビジネスにおける資本金とは事業運営に必要な原資(ガソリン)だ。

それが少ないと言うことは、そもそもビジネスをしっかり運営できるのかと言う不安が金融機関や取引先に湧いてくることになる。

 

会社法が施行された平成17年以降は資本金が1円でも会社を作れるようになった。それによって会社設立の敷居は一気に下がったことは非常に良いことだ。

だが対外信用と言う面では、未だに一定の資本金が積まれていることが求められることは否めない。

もちろん、あなたの懐具合にもよるのだが、それなりの見栄えを考えるのなら50〜100万円程度の資本金は積んでおいた方が良いだろう。

 

私が会社を設立した際は、100万円を資本金として準備した。

もちろん自分でそんな大金は持っていなかったので、奥さんにお願いしてボーナス時に定期積立金にするお金の一部を一時的に借りた。その後、しっかり利子をつけて返済。。。

上記の通り50〜100万円程度は準備しておくと、今後のビジネスを展開する上で信用面なども含めて特段困ることはなくなるだろう。

 

ちなみに資本金というのは会社設立時に見せ金的に準備できれば良い。

会社を設立した後は、特に使うわけでも無い。

だから私が会社設立した時にやったように、ボーナス時に一気にお金が入った時や、現在将来に向けて銀行積立しているお金を貸してもらえないか奥さんに相談してもいいだろう。

そして肝に銘じて欲しいのは、事業資金はあくまで自分のお小遣いと不用品販売などで獲得した資金を使って行うことだ。

 

事業資金の稼ぎ方は別記事  サラリーマンの副業、まずは不用品を売ってみよう。 を参照して欲しい。

 

2.事業目的の注意事項

2つ目は定款に載せる事業目的である。

定款とは会社の基本ルールを文書化したもの。会社の憲法と言ってもいいだろう。前回の記事 普通のサラリーマンでも簡単に出来る、会社設立のための4ステップ。 でも述べた通り、ここにはすぐにやる副業の他に、将来的にやりたいビジネスなども記載しておいた方が良い。

それは定款変更しようとすると3万円を都度法務局に支払う必要があるからだ。

なお事業目的を記載する上で注意する点は2点だ。

 

2−1.許認可が必要な事業は記載しない。

1点目は、ここに国や都道府県の許可が必要な事業(許認可事業)は決して書いてはいけない。不動産仲介業や土木建設業のような事業がそれに当たる。

不動産仲介業などを事業目的に書いてしまうと、場合によっては許認可証がないとプライベートカンパニーの銀行口座が作れなくなってしまうこともあるらしい。

私の知人が不動産仲介の文面を定款に記載したところ、とある大きな銀行から許認可証がなければ口座は開設できないとはねられたようだ。

 

もちろん、このような対応は銀行の方針にもよる。私が開設したジャパンネット銀行とゆうちょ銀行に関しては、特段問題なく口座開設ができた。

だが、将来的にもそのような事業を行う予定がないと言うことなら、そういった事業目的は初めから書かない方が無難と言えるだろう。

 

2−2.事業目的の数を多くし過ぎない。

2点目は事業目的の数を多くしすぎないことだ。

あまりにも統一性のない事業目的を大量に記載してしまうと、金融機関やクレジットカード会社の口座を開設する際に、まともに事業を行っているのかと疑われる可能性がある。

また事業目的が多すぎると、この会社の本業は何なのだろうと言う不信感が生まれる。特に金融機関が事業性資金の融資を行う際には、その使い道は非常にシビアに見られる。

 

その際に、会社の事業目的が30個も40個も書いてあったら、いったい貸したお金を何に使われるのかわかったものでは無いと勘ぐられて、融資査定がおりないと言うこともありうるのだ。

確かに逆の立場なら事業目的欄に「土木建設業、エステ店の経営、子役タレントのプロデュース」などと統一性のない目的が延々と書かれた企業を信用して取引をするだろうか。

そういった意味では、将来的に行う可能性が高いビジネスであっても、ある程度の一貫性と妥当な目的数は意識して事業目的は記載するようにしよう。

 

なお余談となるが、銀行から融資を受けたいと思った場合は、通常その銀行に普通預金口座を作らなければいけない。

だが日本政策金融公庫と言う小規模事業者や設立間もない企業にもお金を貸してくれるありがたい政府系の金融機関があるのだが、そのような政府系金融機関には口座が作れない。

そこで公的金融機関からお金を借りたい場合は、ゆうちょ銀行の法人口座を開設しておくことをオススメしたい。

 

なぜなら、ゆうちょ銀行は設立間もない企業に対しても口座開設に対する審査が緩い印象があるばかりでなく、各種手数料も無料であるなど維持負担が少ない。

さらに振込手数料も無料だったりするので、妻の口座に給料を振り込む際の手数料も無料であるなどメリットが大きいのだ。

あなたの会社が決算を迎えた後に支払うことになる事業税や住民税の支払い窓口もゆうちょ銀行になるので、その意味でもぜひゆうちょ口座は作っておくと良いだろう。

 

3.さいごに

会社設立はとても簡単な手続きで出来てしまう。しかし中長期的にビジネスを展開していくには、設立の段階から細かい点で注意しておくべき部分もある。

そのあたりの知識もしっかり持って会社設立に取り組み、使い勝手の良いプライベートカンパニーを作り上げて欲しい。

さて次は「副業規定に引っかからずプライベートカンパニーの社員になる裏技」について書いてみよう。