元来、サラリーマンの夫の妻(専業主婦)には退職金はない。退職金は年金のような社会保障ではないので仕方がない。

そのため妻の退職金は自分で補うしかないのだが、実はプライベートカンパニーを設立することで得られる、これにうってつけの制度がある。

今回は、プライベートカンパニーを設立することで享受できる妻にスーパーハイパフォーマンスの退職金を支給する方法について説明しよう。

 

1.妻にスーパーハイパフォーマンス退職金をもたらす2つの制度

近年、巷では専業主婦とは言っても自宅で家を守るための家事や育児は大変な重労働であり、しかるべき対価が支払われてしかるべしという話題で賑わっている。

確かに主婦の仕事は重労働であることは事実。

毎日のように部屋の掃除や洗濯、食事の準備やその他様々な雑用を効率的にこなすことを要求されることを考えれば、専業主婦は「主婦」という職業であるとも言えるかもしれない。

 

だが、それほど重労働である主婦業は一般的にサラリーマンのような社会保障制度の対象職種とはされていないのが現状だ。

結果、上述した通り専業主婦であるあなたの奥さんに退職金が支払われることは現行制度でいえばありえないことである。

だがプライベートカンパニーを活用すると状況は一変する。実はあなたの奥さんに退職金を支払うためにうってつけの制度を活用することができるのだ。

 

1−1.小規模企業共済

それが小規模企業共済という制度である。

小規模企業共済とは、いうなれば国が作った「経営者のための退職金制度」である。何がすごいかといえば、退職金の積立額を所得から全額控除できるので衝撃的な節税が可能になるということだ。

掛け金は毎月7万円まで掛けられるので、年間84万円まで所得から控除されて税金が掛からない。

 

したがって、妻がプライベートカンパニーから貰う給料は、前回の記事で記載したような100万円と小規模企業共済の掛け金84万円との合計で年間184万円まで税金が掛からないのだ。

プライベートカンパニーにとっては、あなたの奥さんに支払う184万円の給料は全額損金扱いになるので、損金通算で184万円分の利益に対しても税金がかからない。

 

そして驚くべきはここからだ。

この低金利時代に、共済金掛金の利率は1.0%以上の高利回り。実際のところ多少の変動はあるにせよ、平成25年度までの過去9年間の運用実績は平均で2.05%と驚異的な数字を叩き出している。

その辺のファンドマネージャー顔負けの実績である。

 

元本保証で一番金利が高い円建ての運用商品は日本国債だが、その10年ものでさえ現在はマイナス金利時代における厳しい利率とされている状況で、金利なんて全くつかないようなものだ。

それに比べて、この小規模企業共済がどれほどコストパフォーマンスが高い投資かお分りいただけるだろう。

加えて毎年1年分をまとめて収めると、さらに0.5%ほど得をするというおまけ付き。トータルで考えれる、過去9年間の運用実績は2.5%程度であったということになる。

 

独立行政法人中小企業基盤整備機構という経済産業省の外郭団体が運営する退職金制度なので、実質的には元本保証されているようなものだ。

これほど安全で、節税効果が高くて、利回りが高い仕組みは、この制度の他には1つしか存在しない。

 

1−2.経営セーフティ共済

そのもう一つのすごい仕組みが、経営セーフティ共済である。

経営セーフティ共済とは、取引先の予期せぬ倒産による連鎖倒産から中小企業を守る制度で、小規模企業共済と同じように中小企業基盤整備機構が運営している。

月額20万円まで掛金を掛けられるのだが、払い込んだ掛金は税法上、法人の場合は損金、個人事業主の場合は必要経費に参入できるので、年間240万円までの節税が可能だ。

 

つまり小規模企業共済やその他の控除も合わせると、合計で424万円もの節税が可能になるというわけである。

40ヶ月以上経てば、いつでも自由に解約をして100%返してもらえるので、妻の社長退職金代わりにも使える。

さらにすごいのは、前納制度を使うと年利3.25%で運用できる点だ。これだけの高利回りの運用と節税とをまとめて実現できる商品や仕組みは、そう滅多にはお目にかかれないだろう。

 

そして何より素晴らしいのは、この共済金掛金を支払うことで、社会貢献ができるということ。

大手企業による中小企業いじめは日常茶飯事である。中小企業が資金繰りに困った時は、大手銀行はあっさり手を引いて見捨てる。

だから、我々のような弱小零細企業は弱いもの同士で互いに助け合うしかないのである。

 

それを制度として実現しているのだから、経営セーフティ共済は、本当に素晴らしい制度だと思わないだろうか。

ちなみに、小規模企業共済も経営セーフティ共済もメインバンクの窓口で申し込むことができる。プライベートカンパニーを作ったら、忘れずに申し込んでおこう。

 

2.さいごに

老後の生活を支えるセーフティネットとしてなくてはならない退職金。

現在の社会では、昔に比べてどんどん退職金の支給額が減少傾向にあるだけでなく、場合によっては1円ももらえないなんていう時代がやってくるかもしれない。

サラリーマンとして会社に依存した生活を続けていれば、このリスクは回避できない。

 

しかし、プライベートカンパニーさえ設立してしまえば、前回の記事で説明したように老後の年金をコントロールできるだけでなく、今回のようなスーパーハイパフォーマンスの退職金まで自分で確保できるようになる。

今回の記事を参考に、ぜひ奥さんにも十分な退職金を準備してあげて欲しい。

さて次は「会社運営には絶対必要。会社用の銀行口座を作る上で気をつけるべき5つのこと。」について書いてみよう。