これまでの記事では、プライベートカンパニーを設立する場合、あなたの奥さんや家族を代表として商業登記に記載して、あなたは裏方として事業を行うのが良いという前提で説明をしてきた。

ただ場合によっては、本業の会社の副業規定に引っかからずに、あなた自身がプライベートカンパニーの社員になることもできる。

今回は、これまでの説明から少し脱線することになるが、あなた自身がプライベートカンパニーの社員になれる場合について解説してみたい。

 

 

 

1.あなたがプライベートカンパニーの社員になるために絶対確認しておくべきこと

前回の記事でも解説したが、合同会社を設立する時には絶対的記載事項というものを決定する必要がある。

その事項の1つに「社員」という項目がある。合同会社における社員とは資本金を提供した出資者のことを指す。

これまでは我々がプライベートカンパニーを設立する時、社員として記載するのは代表社員としてあなたの奥さんと、場合によっては高校生以上のお子さんまでに止めておくのが良いと述べてきた。

 

それなら会社情報を記載した登記事項証明書の中に、あなたに関する情報が記載されることもなく、本業の会社に副業をしていることがバレないからだ。

ただ会社にはバレない反面、あなたを社員にしないことで出てくるデメリットがある。

それはあなたがプライベートカンパニーの社員でないと、会社のお金を経費計上したいと思った時に、あなたのために使った費用が経費として計上することが出来ないのだ。

 

もちろん、うまくやり繰りすることであなたに掛かった費用を経費として計上する方法はあるのだが、その恩恵をフルに活用するためには、あなたも社員として登記しておくのがやはりベストなのだ。

だから理想をいうなら、あなたもプライベートカンパニーの社員として名前を連ねることができたら良いのは間違いない。

そうするためには1点、どうしても確認しなければいけないことがある。それは、あなたの本業の会社の副業規定は具体的にどう記載されているのかと言うことだ。

 

これは会社によって異なるのだが、一般的に会社の副業禁止規定は、大きく分けて以下のようなパターンに分けられる。

  • 本業の会社に雇われたまま、他社の社員として雇われ実務を行っていること
  • 本業と同業種の業を営み本業会社の利益を損なうこと
  • 別企業の役員として登記されていること

 

この中で、2番目の「本業と同業種の業を営み、本業会社の利益を損なうこと」については、例えばあなたの副業がインターネットを使った物販ビジネスであり、本業の会社がそのビジネスと競合することがないなら、これも副業規定違反にはならない。

問題なのは、3番目の「別企業の役員として登記されていること」である。

これについては実務云々は関係なく、登記記載事項にあなたの名前があるかどうかという客観的な事実だけが問題なので言い逃れが難しく、プライベートカンパニーの社員として登記された時点でジ・エンドと考えるべきだろう。

 

あなたの本業の会社が定めている副業規定は上の3番目に該当しないか、その点をしっかり確認して欲しい。

そして、あなたの会社の副業規定が1番目の内容であった場合には、ある手続きをとることで、副業規定に引っかからずにプライベートカンパニーの社員になる方法がある。

おさらいになるが、合同会社において社員とはお金を出す人(出資者)のことだ。株式会社で言うところの株主にあたる。

 

株式会社では出資者である株主と会社を経営する役員とは別に分けている。ところが合同会社では、出資者である社員が同時に経営者にもなってしまう。

したがって、あなたと妻が二人で出資してしまうと、二人ともに「社員」として合同会社の共同経営者になるため、あなたは本業の会社の副業禁止規定に引っかかってしまうのだ。

そこで、この場合には妻を「業務執行社員」として「社員」である夫と明確に登記上で区別する記載を行う。

 

業務執行社員とは出資者兼経営者であり、株式会社で言う代表取締役のことと考えて欲しい。

そうするとあなたは何もしなくても、自動的にただの出資者に格下げされて、経営者から外されることになる。

つまり株式会社でいうところの株主になるわけだ。あなたが、どこかの会社の株式を持っているからと言って、副業禁止規定に引っかかるなんて聞いたこともないだろう。

 

同じように、あなたのお子さんをプライベートカンパニーの社員として登記する場合も、親を業務執行社員にすれば大丈夫だ。

なお将来的な話になるが、子供に会社財産を相続したいと考えた場合、子供が100%出資者とすれば、会社の財産は相続税なども一切徴収されず子供に引き継ぐことができる。

だが、子供が若年のうちは、さすがに現実的に難しい部分もあるし、実際の業務についても親を業務執行社員にもできない。

 

その場合は、子供の出資比率を大きくして、親の出資比率をわずかにするなどの対応をすると良いだろう。

 

2.副業サラリーマンがプライベートカンパニーを設立する本来の趣旨

今回は、サラリーマンであるあなたが、会社の副業規定に引っかからずにプライベートカンパニーの社員になるための方法を説明してきた。

だが、ここまで説明しておいて恐縮だが、我々がプライベートカンパニーを設立する最も大事な理由を今一度思い返して見て欲しい。

あくまでもプライベートカンパニーは、会社にバレずに副業をして収入をあげる万能の隠れ蓑として使うものだ。

 

確かに法律上、副業規定への対応としては上記のような技を使うことで、名目上は対応することが可能だ。

しかし、前の記事にも書いた通り、この日本社会はこれだけ政府主導で副業解禁のアナウンスが広がっているにもかかわらず、未だに会社に対する忠誠心を強要するような暗黙の副業禁止イデオロギーが残っている。

そのような状況では、例え建前的にしっかりと対応していても、本質的なところでは様々なデメリットを被りかねない。

 

そのことを考えれば、やはり我々は副業に関わる情報はできるだけオープンにしないよう、十分に注意を払っておいた方が良いのではないだろうか。

安心して欲しい。それでもこのプライベートカンパニーを活用した副業を実践していけば、あなたは間違いなく豊かな人生を手に入れることができるのだから。

さて次はプライベートカンパニーの社長を妻にすることで得られる大きなメリットの一つ「妻の年金が大幅アップ!?社会保険料を払わなくても妻に年金が支給される裏技。」について書いてみよう。