サラリーマンを続けつつ、自分のビジネスを立ち上げてプライベートカンパニーを設立することは、豊かで充実した人生を送ることができる最強の戦略だ。

そしてプライベートカンパニーの社長には、あなたの妻が就任する。

妻を社長にする理由は大きく2つある。

1つは「会社にバレないように副業をするため」、そして2つは「所得の分散化」だ。

 

所得分散をすることで所得税率の低減につながり、世帯としての手取収入を増やすことができる。

日本は累進課税の国。

あなた一人の収入額を1000万円に増やすよりも、あなたと奥さんで500万円づつ合計1000万円にした方が、所得税額が少なくなる。

 

そして、手元に残るお金は増えるのだ。

「いかに税額を減らして、手取収入を増やすか。」

これが人生を豊かにするために必要な考え方である。

 

このプライベートカンパニーを設立して妻を社長にすると言う方法が間違いなく最強なのだが、実はその前にもあなたにはできることがある。

サラリーマンとして働くあなたの課税所得を減らすことで、税額を抑えて手元に残るお金を増やすと言う方法だ。

 

これは「あなたの給料(収入)を減らしましょう」ということではない。

あくまでも課税所得を減らすことで、かかってくる税金を減らすというものだ。

 

課税所得に関しては別記事 サラリーマンが副業をすると掛かってくる税金について知ろう。 に書いているので参照してほしい。

 

今回は、サラリーマンでも簡単にできる課税所得を減らし手取収入を増やす技について書いてみたい。

 

1.控除を使い切り課税所得を減らす。

まず課税所得を減らす一番簡単で効果の高い方法は、サラリーマンに与えられている控除を使い切ることである。

控除を増やす、使い切るというのは、サラリーマンに与えられた最大の権利を使いこなすということだ。

一般的な配偶者控除、配偶者特別控除だけではない。

自分で確定申告することで、相当な金額を取り戻すことができる控除がいくつもあるのだ。

 

例えば所得控除としては、医療費控除雑損控除寄附金控除などがそうだ。

それから、案外知らないのが特定支出控除

サラリーマンであっても本業に関する支出は経費にできるという制度が特定支出控除だ。

 

特に特定支出控除は、平成24年度に改正されて、より使いやすくなっている。

それまでは対象外だった衣類や書籍、雑誌などの図書の購入費用が経費として認められるようになった。

会社から「業務上必要である」と承認された書類と領収書があれば、これまで自腹を切って負担していた人にとってはありがたい改正だ。

 

もちろん会社で着る背広や通勤用の靴、カバンなどの支出は控除対象。

業務に関する参考書や雑誌、DVDなども当然経費として計上して良いはずである。

このような控除を使い切ることで、課税所得は減り、税額が下がり、手元に残るお金は自動的に増える。

 

サラリーマンだからこそ設けられている控除も少なくないのだ。

自分が本来享受できるはずの特典を生かしきれていない人が大半だが、それはあまりにももったいない。

自分の財産を豊かにするチャンスをみすみす潰しているようなものだ。

 

そんな控除を使わない手はない。

確定申告の手間を厭わず、与えられた特典枠はきっちりと使い切ろう。

 

2.特定支出控除について

2−1.特定支出控除の分類

上でも少し触れたが、サラリーマンでも経費として計上できる控除の中に特別支出控除がある。

特別支出控除とは、簡単に言えば会社業務に関するもので自腹を切って支払いをしたものを経費として計上することができるというものだ。

だから、会社から別途手当などの形で支給されているものに関しては経費とはみなされない。

 

特別支出控除は大きく9つの分類に分けられる。

 

上の通勤費や転居費などについては、会社からの支給される場合がほとんどなので関係がない。

おそらく利用価値があるのは、資格取得、図書、通勤必要経費の衣服費、交際費などだろう。

これらを目的として自腹で支出を行った場合は、会社に申請することで必要経費として税金が控除される可能性がある。

 

特に利用用途が多いのは資格取得や技術習得のための負担だろう。

税理士や社労士などの士業資格を取るために、現在高額の支出をしている人などには、とてもありがたい制度だ。

 

2−2.特定支出控除の計算方法

では、実際に特定支出控除額を計算する方法を解説してみよう。

特定支出控除は、上に記載したような特定支出に当たる支出が給与所得控除の半分を超えた場合が対象となる。

だから、まずはあなたの給与所得控除額を知る必要がある。

 

・給与所得控除額の計算方法

収入 給与所得控除額
65万円未満 一律で65万円
65万円以上180万円以下 収入×40%
180万円を超え360万円以下 収入×30%+18万円
360万円を超え660万円以下 収入×20%+54万円
660万円を超え1,000万円以下 収入×10%+120万円
1,000万円を超え1,500万円以下 一律で220万円
1,000万円を超える場合 一律で220万円

 

特定支出が上にある計算方法で算出した給与所得控除額の1/2を超えた場合に、超えた金額に関して特定支出控除を受けることができる。

以前は、給与所得控除額の全額を超える必要があったため、控除を申請できる人が限られていたのだが、平成24年の法改正で、これが1/2を超えた分まで減額されたので、だいぶ使いやすいものになった。

 

2−3.特定支出控除額計算の具体例

では、具体例を通して、特定支出控除額の計算方法、確定申告の必要性を見てよう。

 

・収入が500万円で特定支出額が50万円の場合

50万円-{(500万円×20%+54万円)×1/2}=-27万円

 

計算の結果、マイナスとなり、特定支出控除を受けられる金額に達していないので申請しても意味がない。

 

・収入が1,000万円で特定支出額が200万円の場合

200万円-(220万円×1/2)=90万円

 

この場合、確定申告の際に90万円を特定支出控除にすることができる。

 

このような計算をして申請することで、支出を経費にすることができて、課税所得を減らすことができるのだ。

 

2−4.特定支出控除を適用するためには

特定支出控除を適用するためには以下のステップを踏む必要がある。

  1. 領収書を保存しておく。
  2. 会社から証明書を発行してもらう。
  3. 必ず確定申告をする。

 

特定支出控除は、まだまだ世間に広がっていない制度。

それは、手続きの煩雑だったり控除適用の基準が高かったりなど様々な要因はあるが、何よりも1番の理由は我々サラリーマンが税金に対する知識に疎く、また勉強しようともしないことが原因だと思う。

現在は、控除適用基準も暖和されて、特定支出の範囲が広げられる税制改正が行われており、適用する人数も徐々に増え始めている。

 

依然として、多額の支出をする必要があったり、会社に押印をもらわないといけなかったりすることで、適用するにはハードルが高い面もある。

それでも会社員が経費を計上できるというインパクトのある税金制度であるため、是非活用して見て欲しい。

 

3.さいごに

プライベートカンパニーを設立して、副業ビジネスでお金を稼ぐことは、自分や家族の人生を豊かにする上で即効性があり、またインパクトのある方法である。

ただ、サラリーマンとしての本業収入の手残りを極限まで増やすと言うのも、即効性が高く、効果的な方法だ。

面倒臭がらずに、せっかく与えられた税制の優遇、サラリーマンに与えられた権利を十二分に活用して欲しい。