この章では、妻をプライベートカンパニーの代表にすることで可能となる経費ノウハウの具体例について記載してみよう。

 

現在、私の妻は実際にプライベートカンパニーの代表を勤めている。

具体的な事業としては、ヤフオクとebayなどのプラットフォームを使った物販事業と、独自ネットショップを3店舗運営している物販事業者だ。

 

役員報酬は月額7万円。会社員である私の扶養家族のステイタスを維持したまま、所得税の控除も受けられる年収103万円未満で仕事を行っている。

 

いわゆる月給(役員報酬)だけみれば、普通のパートさんと変わらない。わざわざプライベートカンパニーを立ち上げるなんていう大掛かりなことをしなくてもいいではないかと思うかも知れない。

しかしパートとして勤めに出るのと、自らプライベートカンパニーの社長となるのでは、得られる「特典」が全く違う。

 

仕事先に出向いたり、情報交換の場へ出かける時の交通費、仕事道具であるパソコンや携帯電話、宅配便代、文具代などは全て経費扱いだ。

この「経費扱いできる」という事実が、プライベートカンパニーを立ち上げる最強、最大の理由なのである。

 

1.交通費、通信費、福利厚生費はこうして経費にする。

では、いかにして経費を扱っているの見てみよう。

 

1−1.交通費を経費にする

まずは、交通費だ。妻の仕事は自宅でパソコンを打つだけではなく、商品の仕入れを行うために街に出たり、展示会に視察に行ったりもする。

また、仕入先との打ち合わせなどで、その会社などに出向くことも多いため、その交通費は全て経費として計上できる

 

これだけなら、なんの面白みもないが、実際にはマーケットリサーチや情報収集をかねて書店に出向いたり、同業他社の状況チェックなどをしたりする時に発生する交通費も全て経費として扱っている。

最近のネット通販事業について、人と会って情報交換する際の交通費も同様だ。

ちなみに、その際に車を利用した移動を行ったとして、横に家族の私や子供が乗っていたとしても、特に問題はないだろう。

 

つまり、自宅から街に出かける際の交通費は、ほぼ経費とみなすことができる。例えば、仕事で必要な本を探しに、街の大型書店に出かけ、その帰りにデパートで買い物をして帰ったとしても、それももちろん経費となる。主な目的な仕事だからだ。

カフェで仕事関係の知人と待ち合わせ、最近ネットで買ったものの良し悪しやサービスのないようについて会話を交わしたあち、お互いの近況報告をしたとしたら、そのカフェまでの往復交通費はもちろん経費扱いできる。

仕事の情報交換とお互いの営業活動にもなるからだ。

 

1−2.通信費を経費にする。

基本的にインターネット料金、プロバイダ料金、固定電話、携帯電話の料金、切手代、ハガキ代、宅配便代などは全て忌避とみなされる。

個人事業主の場合は、「按分」と言う概念が必要となり、個人利用とビジネス利用で、その比率を常識の範囲内でしっかり按分して経費計上の額を決める必要がある。

 

だが、会社の場合は基本的に全て会社経費として計上することが可能だ。

もちろん会社の経費として計上している以上、携帯電話の利用などに関してはビジネス目的の利用である必要があるのは当然だ

 

ただし、上の交通費などでも述べた通り、知人と最近ネットで買ったものの良し悪しやサービスのないようについて会話を交わしたのち、お互いの近況報告をしたとしたら、その電話の利用はもちろん経費扱いできると考えて差し支えないだろう。

そのあたりは、あなたが本業の会社から携帯電話を支給されているとしたら、どのような運用で携帯電話を利用しているのかを考えれば、その良識の範囲というものはわかると思う。

 

その他経費に関しても同様の基準で判断すれば問題ないだろう。

 

1−3.福利厚生費を経費にする

福利厚生費に関しては、一人会社(社長1名)については、残念ながら経費としての計上は難しいと考えたほうがいい。

その理由は、福利厚生費とはそもそも従業員のモチベーションアップのために支出した費用を意味しているからだ。

 

ここでいう「従業員」の中に、社長は含まれない。例えば、ハードワークに備えて身体を鍛え、心身のリラックスを図る目的でスポーツジムに社長が通っていたとしよう。この時の会費や利用料は経費の対象とはみなされない。

だが、従業員を雇い、従業員が利用できるように契約しているのであれば、その費用は経費となる。

 

法人契約を結んでいれば、場合によっては経費となる可能性もあるが、基本的には従業員利用を前提と考えたほうが良いだろう。

 

2.実際の年間経費計上できた額は?

さて、ここまで書いてきた交通費、通信費、福利厚生費で私のプライベートカンパニーで1年目に年間計上した金額をざっくり挙げておこう。

 

交通費   15万円

通信費   12万円

福利厚生費  0万円

合計    27万円

 

本来、本業の会社からもらった給料(税金支出後の手取額)から支出しなければいけなかったこの27万円という金額が、プライベートカンパニーを活用することで、税金として納税する前の課税所得から支出できて、さらに同額分の課税所得の控除ができてしまうわけだ。

 

わずか交通費と通信費だけでも、これほど美味しい思いができるのが、プライベートカンパニーの大きな魅力と言えるだろう。

 

3.さいごに

今回は交通費と通信費、福利厚生費について書いたが、経費として計上できる勘定科目はまだまだある。

次は「経費ノウハウの具体例2 文具、書籍はこうやって経費にしよう。」について書いてみよう。