私のところに来るご相談で、結構多い質問の中に「普通のサラリーマンが転売なんかして、違法ではないのですか」というものがある。

折角、興味を持って始めようと思った副業だが、ふと心配になってしまう人も少なくないのだろう。

「転売」と聞くと、確かに少しダークなイメージを持たれる人もいるようだ。

ちょっと前に話題になったが、あるお笑い芸人のライブチケットを転売目的で購入して、本来買いたかった人が買えず、ライブ会場がガラガラの状態だったというものがあった。

結論から言うと「転売」は違法ではない。

確かに、上記のチケットのような、知らずに手を出すと違法になるケースはある。

ただ、しっかりと転売事業のルールを理解して、適正に行えば決して違法となることはなく、さらにいえば非常に社会貢献性の高いビジネスと言える。

転売ビジネスのルールをしっかり理解して、安心して転売ビジネスでサラリーマンの副業を開始しよう。

 

1.転売することで違法となるケース

まず言っておこう。転売ビジネスは一部の場合を除けば、違法ではなく全く問題ないビジネスモデルである。

ただ注意しておかなければいけないことが3つある。

それは、

中古品を取り扱う際に古物商の許可が必要になる場合がある。」、「認知に関係なく偽物を扱ってしまう」、そして「チケットのダフ屋行為」である。

この3点に関しては、しっかりとした知識を持って取り組む必要がある。それぞれの内容を具体的に見ていこう。

 

1−1.中古品を取り扱う際に古物商の許可が必要になる場合

古物商許可というものを知っているだろうか。これまたウィキさんに尋ねると

「古物商(こぶつしょう)は、古物営業法に規定される古物を、業として売買または交換する業者・個人のことである。 … 盗品の売買または交換を捜査・検査するために、営業所を管轄する都道府県公安委員会(窓口は警察署)の許可が必要になる。」

ということだ。

簡単にいえば、盗んだものを売ろうとする泥棒を取り締まるために誰から買って誰に売るのかをしっかり確認するために作られた警察(公安委員会)が発行する許可である。

ここでポイントとなるのは「業として売買または交換する業者・個人」ということで、個人であっても問題なく取得ができるということである。

また、古物商の本質は、商品の出どころと行き先をしっかり管理することであり、単に一般の個人が自ら小売店等から購入した物品をインターネットオークション等で売却する場合は、古物営業には該当しない

ただし、一般の消費者や、中古店等の古物商、またはリサイクルショップその他から古物を購入してそれを売却する場合や、営業性がある場合にはこの限りではない。つまり古物を買い取りかつ売却し、かつ営業性があれば個人であっても古物営業に該当する。

この辺りのニュアンスはかなり微妙なところがある。例えば、上記の内容をみると、リサイクルショップで買ったものを販売したら古物に該当するようにも受け取れるが、実際リサイクルショップで買ったものを使って、必要なくなったのでまた売ったらそれは古物商に当たるのかといえば多分答えはNoだろう。

また、内心は営業目的に買ったとしても、まずは自分で使うつもりで買ったといえば、それでまかり通る気もする。

ちなみに、警察の見解もかなりばらつきがあるようである。

私が、ヤフオク転売事業を始めるにあたり、古物商許可をとるべく最寄りの警察署に届け出に行ったところ、そこの警察官からは「その事業であれば古物商許可の必要はない」との返答があった。

上記の通り、そもそも古物商許可の本来の目的は、盗品が売買されるのを防ぐために、物の売主と買主の情報をきちんと管理することだ。

それならば、ヤフオクのように元来販売者と購入者の情報がしっかりとデータとして管理されている場所での取引は、基本的に古物販売で必要な情報は得られているわけだ。

だから、ヤフオクでの個人売買に関しては基本的に古物商許可は必要ないということらしい。

ただ、上記の通り警察官の間でも、この辺りの認識には多少の違いがあり、「必要」という人と、「不要」という人が混在するらしいので、リスクヘッジを加味すれば、とりあえず古物商許可はとっておいた方が無難かもしれない。

もしくは、警察に申請に行った際「不要」と言われた場合は、その言った警察官の名刺をもらい、その裏にでも申請に行った日時と状況をメモ書きでもしておいたら、言った言わないの無駄なやり取りを回避することができるだろう。(ちなみに私はその口である。)

まあ、そもそも古物商許可というものが作られたのは、昭和24年に作られた古物営業法という化石みたいな法律に準じているので、現在のような一般個人がネットでものを販売するような事態は当然想定されていない。

携帯電話など多くの未来商品を予見して描かれた鉄腕アトムでも、さすがにヤフオクについての描写はないので、当時の人間が想像することはさすがに無理であろう。

 

1−2.認知に関係なく偽物を扱ってしまう

偽物を扱ってしまうというのも、やはり転売ビジネスを行う上でリスクとなるものの一つである。以前、ニュースなどでも話題になったが、偽ブランドの商品をヤフオクなどで売りまくって合計1億円以上を売り上げて逮捕されたみたいなやつだ。

上記、ニュースの例は偽物という事実を知っていながら転売をしたという悪徳なものであるので言い訳のしようもない。

ただ、問題なのは自分も偽物とは知らずに買ったものが、実は偽物だったというケースである。これは自分も騙されているわけだが、残念ながらこれもアウトである。

当然、ヤフオクなどのプラトホームからは一発退場だし、場合によっては上記例の通り逮捕されることもありうる。

特にこれは海外(中国)などから輸入した商品を転売している場合に起こることである。

ただ、安心してほしい。このようなことにならないように対策を取ることは十分に可能だ。

そもそも国内転売を行うケースは、商品の仕入先として選ぶのは大手家電量販店などのしっかりとしたルートである。そのため、偽物をつかまされるなどということは基本的にありえない。

また、海外製品を取り扱う輸入転売に関しても、基本的に中国などから輸入する商品はノンブランドの商品に限ることで、上記のようなケースは回避することが可能だ。

現在、世の中に広まっている輸入転売のノウハウは、そのようなリスクヘッジも十分になされたものになっているので、その点をしっかり学んで実践すれば、そのような憂き目に会うことはないだろう。

 

1−3.チケットのダフ屋行為

価値あるものを安く仕入れて、望む人に高く買ってもらうという転売は商売の基本であるにもかかわらず、チケットの転売だけはなぜか「ダフ屋行為」として禁止されている。

ただ禁止しているのは、法律ではなく、都道府県の迷惑防止条例である。ダフ屋行為の何が、どんな理由で規制されているのだろうか>

先日、某ミュージシャンのライブを久しぶりに観覧してきた。素晴らしいパフォーマンスであったが、それとは別に、初めて体験する出来事もあった。それはライブの入場チケットが電子化されていたことだである。

一般的な「紙」の入場チケットだと、転売されてしまうおそれがあるため、近年はこのような電子化が徐々に進んでいるのだろう。

そのライブのチケットは、デジタル的なデータとして観覧希望者の携帯電話やスマートフォンに組み込まれることが義務づけられ、入場の際に画面に特定の「QRコード」を表示させたりして、来場者が本人であるかを識別する仕組みになっていた。

ただ、依然として紙ベースのチケットが一般的に販売されている。

そもそも、ダフ屋はなぜ違法とされているのだろうか。安く買って、高く売るのは、商売の根幹である。世の中には金券ショップ、リサイクルショップ、株取引に不動産取引まで、この世は”転売”であふれている。なのに、チケットの転売だけが「ダフ屋行為」として禁止されているのである。

ダフ屋行為を禁止しているのは、法律ではなく、それぞれの地元の都道府県が規定する迷惑防止条例である。たとえば、東京都では「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では、このようにダフ屋行為を規制している。

1−3−1.どのような行為が規制対象なのか?

不特定の者にチケットを売るだけでなく、転売するつもりで買う行為も規制対象だ。それ以前に、転売するつもりで買おうとする段階(路上で「買うよ買うよ、チケット買うよ〜」と声をかけるなど)から禁じられている。

つまり、自分が観覧する目的で買ッタのだが、イベント当日の都合が悪くなったために他人にチケットを売ることは、迷惑防止条例での規制対象でなく、合法な転売ということになる。

初めは転売目的でチケットを買ったわけではないからだ。

1−3−2.どこで売り買いすることが規制対象か?

場所としての規制は「公共の場所」と「公共の乗物」である。現代では、インターネット空間が「公共の場所」かどうかが問題となるが、一般的には該当しないとされている。

いわゆる「ネットダフ屋」も、ネットオークションなどの場で転売したことをもって摘発されたわけではない。

そのため、厳密にいえば、ネットオークションでの売買は違反とは言い切れない。もしネットオークションなどでのチケット転売も規制するのなら、「公共の場所」というあいまいな言葉では足りず、条例の改正が必要となるだろう。

それでも、拡大解釈をすればネットオークションでの営業行為は、条例違反となるリスクは高い。

世の中にはいくらでも転売対象となり得る魅力的な商品があるのにわざわざリスクを冒してまで、チケット転売をする理由は皆無なのである。

この3つのケースに触れていなければ、基本的に違法にはなることはないので、安心してビジネスに取り組めばいいだろう。

 

2.さいごに

上記の通り、中古品を扱う転売をする場合において、安心して事業に取り組みたいのなら古物商許可を取得を検討するのが良いだろう。

 

ちなみに、古物商は取得したいと思うのであれば、警察に申請にいくわけだが、これは思ったより簡単に取得することが可能だ。古物商の資格に関しては別記事、「古物商の取得の仕方」にまとめているので、そちらを参考にしてほしい。

そして、偽物を扱うリスクを回避するためにしっかりとした仕入先から商品を確保すること。そして、チケットなどの転売禁止商品には手を出さないこと。

このルールを守れば、転売ビジネスは安心安全、稼ぎやすいサラリーマンの副業の代表格となる。

 

さて、次は実際に転売ビジネスを始めるに当たっての心構え「サラリーマンの副業でも最速で月収30万円を達成するために意識すべき6つのこと」について書きたいと思う。